はじめに
営業をしていると、避けられないのが「失注」です。
時間をかけて商談をした。
提案資料も作った。
見積もりも提出した。
それでも最後に、
「今回は見送ります」
と言われることがあります。
営業を始めた頃の私は、失注すると落ち込んで、その案件を早く忘れようとしていました。
しかし営業を10年以上経験して感じるのは、失注した時にこそ得られる情報があるということです。
それが、
「なぜ選ばれなかったのか」
です。
ただし、お客様にいきなり、
「なぜダメだったんですか?」
と聞いても、本当の理由を話していただけるとは限りません。
今回は、失注したお客様から今後につながる情報を聞くために、私が意識したいと思う5つのポイントをご紹介します。
① まず結果を受け止める
失注の連絡を受けると、
「価格でしょうか?」
「何がダメだったのでしょうか?」
と、すぐ理由を聞きたくなることがあります。
しかし、まずはお客様の判断を受け止めます。
例えば、
「承知しました。ご検討いただき、ありがとうございました」
と伝えます。
そのうえで、
「今後の提案改善の参考にしたいのですが、差し支えなければ今回見送られた理由をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
と聞きます。
ポイントは、契約を取り返すためではなく、今後の改善のために聞いていることを伝えることです。
お客様も答えやすくなります。
② 「価格ですか?」と決めつけない
失注すると、
「他社より高かったからだ」
と考えてしまうことがあります。
もちろん、価格が理由の場合もあります。
しかし実際には、
- 提案内容
- 導入時期
- 実績
- サポート体制
- 社内事情
- 競合との比較
- 営業担当への安心感
など、さまざまな理由があります。
最初から、
「やはり価格が高かったでしょうか?」
と聞くと、お客様も、
「そうですね」
と答えてしまうかもしれません。
そこで最初は、
「今回のご判断で、一番大きかったポイントはどの部分でしょうか?」
と広く聞きます。
先に答えを決めつけないことが重要です。
③ 競合に決まった理由を聞く
他社に決まった場合は、
「どこの会社ですか?」
だけを聞いて終わらせないようにします。
本当に知りたいのは会社名ではなく、
「なぜその会社が選ばれたのか」
です。
例えば、
「差し支えなければ、最終的に他社様を選ばれた決め手を教えていただけますか?」
と聞きます。
すると、
「価格が安かった」
だけではなく、
「導入実績が多かった」
「提案内容が自社に合っていた」
「導入後のイメージが分かりやすかった」
など、具体的な理由が分かることがあります。
この情報は、次の提案を改善するための大切な材料になります。
④ 自分の営業についても聞いてみる
少し勇気が必要ですが、関係性ができているお客様なら、自分自身の営業について聞くこともあります。
例えば、
「今回、私の説明や進め方で分かりにくかった部分はございましたか?」
という聞き方です。
すると、
「もう少し早く見積もりが欲しかった」
「事例をもっと見たかった」
「社内説明用の資料が欲しかった」
など、自分では気づかなかった改善点を教えていただけることがあります。
ここで大切なのは、反論しないことです。
例えば、
「資料が分かりにくかった」
と言われた時に、
「でも他社では好評なんですが……」
と返してしまうと、せっかくいただいた意見を否定することになります。
まずは、
「ありがとうございます。今後改善します」
と受け止めます。
⑤ 「今回はダメだった」で関係を終わらせない
失注したからといって、その会社と二度と取引できないとは限りません。
例えば、
「今年は予算がない」
「導入時期が合わない」
「今回は既存取引先を継続する」
という理由なら、将来状況が変わる可能性があります。
そのため、失注理由を聞いた後に、
「ありがとうございます。大変参考になりました。また状況が変わりましたら、お役に立てることがあればぜひお声がけください」
と伝えておきます。
場合によっては、
「来年度の予算検討は何月頃でしょうか?」
と次のタイミングを確認することもできます。
失注=関係終了とは限りません。
今回契約にならなくても、丁寧に対応することが次の機会につながることがあります。
失注理由を聞く時の会話例
例えば、お客様から、
「今回は他社にお願いすることになりました」
と言われたとします。
その場合、
「承知しました。今回はご検討いただき、本当にありがとうございました」
と、まず結果を受け止めます。
その後、
「今後の提案を改善したいと思っています。差し支えなければ、今回のご判断で一番大きかったポイントを教えていただいてもよろしいでしょうか?」
と聞きます。
お客様から、
「他社の方が導入後のイメージが分かりやすかったです」
と言われたら、
「ありがとうございます。ちなみに、どのような部分が特に分かりやすかったでしょうか?」
と一段だけ深掘りします。
この、
結果を受け止める
↓
理由を聞く
↓
一段だけ深掘りする
↓
感謝する
という流れを意識すると、尋問のようになりにくくなります。
失注理由はそのまま信じていい?
ここも注意したいところです。
お客様から、
「価格です」
と言われたからといって、必ずしも価格だけが理由とは限りません。
断る時に詳しく説明するのが難しく、
「価格が合わなかった」
と伝える場合もあるでしょう。
そのため、一件の失注理由だけで、
「うちの商品は高すぎる」
と判断する必要はありません。
失注理由を記録して、複数の案件を見ます。
例えば10件の失注のうち、
7件で「価格が高い」と言われているのであれば、価格や価値の伝え方を見直す必要があるかもしれません。
反対に、一件だけなら個別事情の可能性もあります。
一件の意見ではなく、傾向を見る。
これが大切です。
失注したら記録しておきたい5項目
失注後は、最低限次の情報を残しておくことをおすすめします。
- 失注理由
- 競合の有無
- お客様が重視していた条件
- 自分自身の改善点
- 将来再提案できる可能性
例えば、
「価格で失注」
だけではなく、
「競合A社。価格差約10%。価格だけでなく導入実績も評価。来年度に再検討の可能性あり」
くらいまで残しておくと、後から振り返りやすくなります。
失注を「ダメだった案件」で終わらせず、次の営業活動に使える情報に変えていきます。
私が失注で大切だと思うこと
営業を始めた頃は、失注すると、
「自分の営業がダメだった」
と考えていました。
しかし、営業を続けていると、自分ではどうにもできない理由で失注することもあります。
予算。
タイミング。
会社の方針。
既存取引先との関係。
だからこそ、
失注したことそのものより、「なぜ失注したのか」を知ること
が大切だと思っています。
自分で改善できる理由なら、次の商談で変える。
自分では変えられない理由なら、必要以上に引きずらない。
その判断をするためにも、失注理由を確認することには意味があります。
まとめ
営業で失注理由を聞く時は、次の5つを意識してみてください。
- まずお客様の判断を受け止める
- 「価格」と決めつけない
- 競合が選ばれた理由を聞く
- 自分の営業についても聞く
- 失注後も関係を終わらせない
失注理由を聞く目的は、
「なぜ自分を選ばなかったのか」と責めることではありません。
次の営業を良くするための材料をいただくことです。
そして、聞いた内容を記録して、次の商談で一つ改善する。
そうすれば、失注した一件も無駄にはなりません。
失注を減らすことはもちろん大切です。
しかし、失注から学べる営業になることも、長く成果を出すために必要な力だと思います。

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