はじめに
営業を始めた頃、私は雑談が得意ではありませんでした。
商談の内容は準備できても、商談前の何気ない会話になると、
「何を話せばいいのだろう」
「沈黙になったら気まずい」
と緊張していました。
営業では雑談力が必要だと言われることがあります。
しかし、10年以上営業を続けてきて感じるのは、雑談で大切なのは面白い話をすることではないということです。
営業の雑談は、お客様が安心して話せる雰囲気をつくるためのものです。
今回は、雑談が苦手な営業でも実践しやすい、会話を続けるためのコツをご紹介します。
①雑談で笑わせようとしない
雑談と聞くと、
「面白いことを言わなければならない」
と思う人もいるかもしれません。
しかし、営業の雑談でお客様を笑わせる必要はありません。
無理に面白い話をしようとすると、かえって自分が緊張してしまいます。
営業の雑談で大切なのは、
- 話しやすい雰囲気をつくる
- お互いの緊張を和らげる
- 商談に入りやすい状態をつくる
ことです。
面白さよりも、話しやすさを意識するだけで、雑談への苦手意識は少し軽くなります。
②目の前にあるものから話題を探す
雑談の話題を毎回準備するのは大変です。
そんな時は、目の前にあるものから話題を探します。
例えば、
- オフィスの場所
- 建物から見える景色
- 受付に飾られているもの
- お客様が持っている資料
- 会議室の雰囲気
などです。
例えば、
「こちらのオフィスからは景色がよく見えますね」
「受付に飾られていた商品を拝見しました」
といった一言から会話が始まることがあります。
特別な話題を探す必要はありません。
その場で気づいたことを丁寧に伝えるだけでも、十分な雑談になります。
③天気の話だけで終わらせない
天気は話しやすいテーマですが、
「今日は暑いですね」
「そうですね」
だけで終わることもあります。
そこで、天気の話に一つ質問を加えます。
例えば、
「今日は暑いですね。外出されることも多いのですか?」
「雨が続いていますが、お仕事への影響はありませんか?」
このように、お客様の仕事や生活に少しつなげると、会話が広がりやすくなります。
ただし、無理に質問を重ねる必要はありません。
相手の反応を見ながら、自然に続けることが大切です。
④相手の話を少し深掘りする
雑談が苦手な人ほど、
「次は何を話そう」
と考えがちです。
しかし、新しい話題を次々と出す必要はありません。
お客様が話してくれた内容を、少し深掘りすれば会話は続きます。
例えば、お客様が、
「最近、出張が多くて」
と言われた場合は、
「どちらへ行かれることが多いのですか?」
「移動だけでも大変ですよね」
と返せます。
会話を続けるコツは、話題を増やすことではなく、相手の話に関心を持つことです。
⑤共通点を見つける
会話の中で共通点が見つかると、雑談は続きやすくなります。
例えば、
- 出身地
- 趣味
- スポーツ
- 食べ物
- 仕事の経験
- よく行く地域
などです。
ただし、共通点を無理に探したり、自分の話ばかりしたりしないよう注意が必要です。
例えば、
「私も野球が好きです」
だけで終わらず、
「どのチームをご覧になることが多いのですか?」
と、お客様に話を戻します。
共通点は、自分をアピールするためではなく、相手が話しやすくなるきっかけとして使うことが大切です。
⑥相手の反応が薄ければ話題を変える
すべての話題がお客様に合うとは限りません。
質問への回答が短かったり、反応が薄かったりする場合は、無理に話を続ける必要はありません。
例えば、
「休日は何をされているのですか?」
と聞いて反応が薄ければ、
「本日はお時間をいただきありがとうございます。それでは、早速本題に入らせていただきます」
と自然に切り替えれば問題ありません。
雑談を続けることよりも、相手が心地よく感じることの方が重要です。
雑談をしない方がよい相手もいます。
相手の反応を見ながら調整することも、営業に必要な力です。
⑦雑談から商談に繋げる
雑談が盛り上がっても、本題へ入るタイミングを逃してはいけません。
雑談から商談へ移る時は、一言区切りを入れます。
例えば、
「ありがとうございます。それでは、本日ご相談いただいた内容について伺ってもよろしいでしょうか」
「お話しいただきありがとうございます。早速ですが、現在の状況を教えていただけますか」
と伝えると、自然に商談へ移れます。
雑談と商談を無理につなげる必要はありません。
一度区切りをつけて、丁寧に本題へ入るだけで十分です。
雑談で避けたい話題
営業の雑談では、話題選びにも注意が必要です。
特に初対面のお客様には、次のような話題を無理に出さない方が安心です。
- 政治や宗教
- 年収や家庭事情
- 容姿や年齢
- 相手の会社への否定的な意見
- 他社や同僚のうわさ話
相手から話してくださった場合でも、踏み込みすぎないことが大切です。
雑談の目的は距離を無理に縮めることではありません。
お客様が安心して商談に入れる関係をつくることです。
私が雑談で意識している3つのこと
私が雑談をする時に意識しているのは、次の3つです。
1.相手に関心を持つ
自分が何を話すかよりも、お客様が何に関心を持っているかを意識します。
2.無理に盛り上げない
会話が短く終わっても問題ありません。相手の反応に合わせます。
3.話した内容を覚えておく
以前伺った話を次回の商談で覚えていると、
「前回お話しされていた件は、その後いかがですか」
と声をかけられます。
こうした小さな積み重ねが、お客様との関係づくりにつながります。
雑談が苦手でも営業はできる
雑談が得意でないと、
「自分は営業に向いていないのではないか」
と感じる人もいるかもしれません。
しかし、雑談が上手であることと、営業で成果を出せることは同じではありません。
営業で大切なのは、
- お客様の話を丁寧に聞くこと
- 課題を正しく理解すること
- 約束を守ること
- 誠実に対応すること
です。
口数が少なくても、お客様の話に関心を持ち、丁寧に向き合える人は信頼されます。
私自身も、流暢に話すことより、相手が話しやすい状態をつくることを意識するようになってから、雑談への苦手意識が減りました。
まとめ
営業で雑談が苦手な人が会話を続けるためには、次の7つを意識してみてください。
- 面白い話をしようとしない
- 目の前にあるものを話題にする
- 天気の話に質問を加える
- 相手の話を少し深掘りする
- 共通点を見つける
- 反応が薄ければ話題を変える
- 一言区切って商談へ移る
営業の雑談は、話術を競う時間ではありません。
お客様が安心して話せる空気をつくる時間です。
たくさん話せなくても問題ありません。
相手の話を丁寧に聞き、自然な質問を一つ返すことから始めてみてください。
雑談に対する苦手意識が少しずつ減り、商談にも落ち着いて入れるようになるはずです。

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