はじめに
営業をしていると、お客様からクレームを受けることがあります。
「聞いていた内容と違う」
「対応が遅い」
「どうなっているんですか?」
営業を始めたばかりの頃に強い口調で言われると、焦ってしまうものです。
私も営業を始めた頃は、クレームを受けると、
「早く解決しないと」
「自分が怒られている」
という気持ちが先に出てしまうことがありました。
そして焦るあまり、状況を十分に確認する前に説明してしまう。
今振り返ると、これがさらに話を複雑にしてしまうこともありました。
営業を10年以上経験して感じるのは、クレーム対応で最初にやるべきことは、すぐに解決策を出すことではないということです。
まず、
「何が起きていて、お客様が何に困っているのか」を正確に理解すること。
今回は、営業がお客様からクレームを受けた時に意識したい5つの基本をご紹介します。
① まず最後まで話を聞く
お客様から、
「先週お願いした件、まだ対応されていないんですけど」
と言われたとします。
その時、
「それは別部署が担当していまして……」
「こちらでは対応済みなのですが……」
と、すぐに説明したくなるかもしれません。
しかし、お客様が話している途中で説明を始めると、
「言い訳をしている」
と受け取られてしまう可能性があります。
まずは、
「ご不便をおかけして申し訳ございません。状況を確認したいので、詳しくお聞きしてもよろしいでしょうか」
と話を聞きます。
例えば、
- いつ起きたのか
- 何が起きたのか
- 誰とやり取りしたのか
- 現在どのような状態なのか
- 何に一番困っているのか
を確認します。
クレーム対応では、
説明する前に、理解する。
私はこれが最初のポイントだと思っています。
② 事実確認前に原因を決めつけない
お客様の話を聞いた後、次に必要なのが事実確認です。
例えば、
「営業担当から聞いていた内容と違う」
というクレームがあったとします。
この時、
「弊社の説明不足です」
とすぐに判断するのも、
「お客様の勘違いです」
と判断するのも早い場合があります。
まず、
- 過去のメール
- 商談メモ
- 見積書
- 契約書
- 社内担当者とのやり取り
などを確認します。
そして、
お客様が認識している内容と、自社に残っている記録の違い
を整理します。
営業では、お客様と自社の間に立つことがあります。
だからこそ、
「誰が悪いのか」
をすぐに決めるのではなく、
「何が起きたのか」
を確認することが重要です。
③ その場でできない約束をしない
クレームを受けると、
「すぐ対応します」
「今日中に解決します」
と言いたくなることがあります。
お客様を安心させたいからです。
しかし、社内確認が必要なのに、
「今日中に解決します」
と約束してしまい、結局できなかったらどうでしょうか。
最初のクレームに、
「約束を守らなかった」
という新しい不満が加わってしまいます。
そのため、分からないことは正直に確認します。
例えば、
「現時点では私だけで判断できないため、社内で確認します。本日15時までに一度状況をご連絡します」
という形です。
ポイントは、
「確認します」
だけで終わらせないこと。
いつまでに何を連絡するのか
まで伝えます。
解決できる時間が分からないのであれば、
解決期限ではなく、
次に報告する時間を約束する。
これだけでも、お客様の不安を減らせることがあります。
④ 社内への共有を後回しにしない
クレームを受けた時、
「自分で何とかしよう」
と思ってしまうことがあります。
特に営業初心者の場合、
「上司に報告したら怒られるかもしれない」
と考えることもあるでしょう。
私も若手の頃は、悪い報告ほど言いにくいと感じていました。
しかし、クレームほど早めに共有した方が対応できる選択肢は増えます。
例えば、
- 上司
- 商品・サービス担当
- カスタマーサポート
- 管理部門
など、必要な人へ共有します。
その際、
「お客様が怒っています」
だけではなく、
①何が起きたか
②お客様は何を求めているか
③現在どこまで確認できているか
④次に何をする予定か
を整理して伝えます。
事実と自分の推測を分けることも大切です。
早く共有することは、
「自分では対応できません」
という意味ではありません。
会社として早く解決するための行動
だと私は考えています。
⑤ 解決した後にもう一度連絡する
問題が解決すると、
「これで終わった」
と思いたくなります。
しかし、私はクレーム対応では解決後の連絡も重要だと思っています。
例えば数日後に、
「先日の件、その後問題なくご利用いただけていますでしょうか?」
と確認します。
問題が解決していても、お客様の中には不満が残っている可能性があります。
また、
「同じ問題が再発していないか」
も確認できます。
そして社内では、
- なぜ起きたのか
- 防げなかったのか
- 次回どうするのか
を整理します。
クレーム対応のゴールは、
その場で怒りを収めてもらうことではありません。
同じことを繰り返さず、お客様が再び安心して取引できる状態を作ることだと思います。
クレームを受けた時の会話例
例えば、お客様から、
「先週までに送ってもらえるはずの資料がまだ届いていません」
と言われたとします。
その場合、
「申し訳ございません。先週までにお送りする予定だった資料が、現時点で届いていないということですね。まず社内の状況を確認します。本日14時までに私から一度ご連絡してもよろしいでしょうか」
という形です。
ここでは、
「担当部署が忘れていました」
など、確認できていない原因を言わないことがポイントです。
まず事実を確認する。
そして次の連絡時間を決める。
確認後、
「お待たせして申し訳ございません。確認したところ〇〇が原因で送付できていませんでした。本日中に送付いたします。送付後、改めて私からご連絡します」
と伝えます。
聞く→確認する→期限を伝える→対応する→完了を報告する。
この順番を意識すると、焦っている時でも動きやすくなります。
「申し訳ございません」と言ったら非を認めることになる?
クレーム対応で、
「こちらに原因があるか分からないのに謝っていいのだろうか」
と迷うことがあります。
その場合、
「ご不便をおかけして申し訳ございません」
「ご心配をおかけして申し訳ございません」
など、
お客様に不便や心配をかけている状況に対してお詫びする
という伝え方があります。
事実確認が終わっていない段階で、
「すべて弊社のミスです」
と断定する必要はありません。
お詫びと原因の判断を分けて考えることが大切です。
クレーム内容は必ず記録する
対応が終わったら、内容を残します。
例えば、
- 発生日
- お客様からの連絡内容
- 原因
- 対応内容
- 誰が対応したか
- 解決日
- お客様への最終連絡
- 再発防止策
などです。
記録がないと、担当者が変わった時に同じ問題を繰り返してしまう可能性があります。
また、
「このお客様はクレームが多い」
という印象だけで判断するのではなく、
実際に何が起きていたのか
を振り返ることもできます。
クレームも重要な顧客情報の一つです。
クレームを一人で抱え込まない
営業初心者に特に伝えたいのが、この点です。
クレームを受けると、
「自分が何とかしなければ」
と思うかもしれません。
しかし、営業だけでは判断できないことがあります。
返金。
契約変更。
商品の不具合。
法的な問題。
会社としての正式な回答。
こうした内容まで営業担当者一人で判断する必要はありません。
自分で対応することと、一人で抱えることは違います。
自分が窓口になりながら、必要な人を巻き込む。
これも営業の役割だと思います。
私がクレーム対応で大切だと思うこと
営業を始めた頃は、
クレーム=失敗
のように感じていました。
お客様から怒られると、
「自分の営業が悪かったのではないか」
と落ち込むこともあります。
もちろん、自分の対応が原因であれば改善する必要があります。
しかし、営業をしていれば、自分だけでは防げない問題が起きることもあります。
大切なのは、
クレームが起きない営業になることだけではなく、起きた時に逃げない営業になること。
だと思っています。
まず話を聞く。
事実を確認する。
社内へ共有する。
約束した時間に連絡する。
解決後も確認する。
特別なテクニックではありません。
しかし、こうした一つひとつの対応が、お客様とのその後の関係を左右することがあります。
まとめ
営業がお客様からクレームを受けた時は、次の5つを意識してみてください。
- まず最後まで話を聞く
- 事実確認前に原因を決めつけない
- できない約束をしない
- 社内への共有を後回しにしない
- 解決後にもう一度連絡する
クレームを受けると焦ります。
だからこそ、
「すぐ答える」より「正確に確認する」。
そして、すぐに解決できない時は、
「いつまでに次の連絡をするか」を約束する。
まずこの2つを覚えておくだけでも、クレームを受けた時の動き方は整理しやすくなると思います。

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