はじめに
営業をしていると、
「この案件、今どうなってる?」
と上司から聞かれることがあります。
営業会議で担当案件について報告することもあるでしょう。
営業を始めた頃の私は、案件報告があまり得意ではありませんでした。
「先週お客様と商談しまして……」
「先方からこういう話があって……」
と、商談で起きたことを最初から説明してしまう。
話しているうちに自分でも、
「結局、何を報告したかったんだろう?」
となることがありました。
営業を10年以上経験し、主任や課長も経験して感じるのは、案件報告で重要なのは商談を再現することではないということです。
大切なのは、
「今どうなっていて、次に何をするのか」を共有すること。
今回は、営業会議や上司への案件報告で押さえたい5つのポイントをご紹介します。
① まず「結論」から伝える
案件報告では、商談の経緯から順番に話したくなることがあります。
例えば、
「先週A社へ訪問して、担当の田中さんと1時間ほど商談して……」
と始める報告です。
もちろん、経緯が必要な場合もあります。
しかし、最初に上司が知りたいのは、
「結局、この案件は今どうなっているのか?」
ではないでしょうか。
そこで私は、まず結論から伝えることを意識します。
例えば、
「A社は現在、100万円の提案で社内稟議中です。来週金曜日に結論が出る予定です」
という形です。
これなら最初の数秒で、
- 顧客
- 金額
- 現在地
- 判断時期
が分かります。
その後、必要であれば詳しい経緯を説明します。
経緯→結論ではなく、結論→必要な情報。
これだけでも案件報告はかなり分かりやすくなります。
② 「事実」と「自分の予想」を分ける
案件報告で注意したいのが、
「たぶん決まると思います」
という報告です。
私も営業を始めた頃はよく使っていました。
商談の雰囲気が良かった。
担当者が前向きだった。
提案内容を褒めていただいた。
すると、
「これは決まりそうだ」
と思います。
しかし、
「お客様が言ったこと」と、
「営業担当が感じたこと」
は分けて考える必要があります。
例えば、
事実
「担当者から『社内稟議に上げる』と言われている」
予想
「反応が良かったので受注可能性は高いと思う」
という違いです。
案件報告では、
「先方から〇〇と言われています。そのため、私は△△と考えています」
と分けて伝えると状況を判断しやすくなります。
上司も事実をもとに、
「本当に受注確度は高いのか?」
を一緒に考えることができます。
③ 受注までに残っている課題を伝える
案件報告では、
「順調です」
だけで終わらせないようにします。
例えば社内稟議まで進んでいても、
- 競合企業が残っている
- 予算承認が取れていない
- 決裁者と話せていない
- 契約条件の調整が必要
- 導入時期が決まっていない
など、受注までの課題が残っているかもしれません。
そこで、
「現在どこまで進んでいるか」
と同時に、
「受注するために何がまだ足りないのか」
を伝えます。
例えば、
「担当者は前向きですが、最終決裁者である部長にはまだ提案できていません」
という報告です。
すると上司から、
「担当者に部長との商談を設定してもらえないか相談してみよう」
など、具体的なアドバイスをもらえるかもしれません。
案件報告は、
うまくいっていることを報告する場ではなく、受注までの障害を見つける場
として使うことも大切だと思います。
④ 次に何をするのかを伝える
案件状況を詳しく説明しても、
「それで、次はどうするの?」
と聞かれることがあります。
そこで必ず、
次回アクション
までセットで報告します。
例えば、
「9月18日までに追加資料を送ります」
「来週火曜日に担当者へ稟議状況を確認します」
「次回商談で決裁者にも参加していただけるよう依頼します」
などです。
ポイントは、
「フォローします」
「確認します」
だけで終わらせないことです。
できれば、
誰に・何を・いつするのか
まで決めます。
例えば、
「A社をフォローします」
より、
「9月18日に田中課長へ電話して、社内稟議の進捗を確認します」
の方が具体的です。
営業会議が終わった後に、
「結局何をすればいいんだっけ?」
とならない状態を作ります。
⑤ 上司に相談したいことを明確にする
案件報告というと、
「自分の状況を説明する時間」
と思ってしまうかもしれません。
しかし私は、
上司から知恵を借りる時間
として使うことも大切だと思っています。
例えば、
「競合との価格差が20万円あります。値下げせずに提案を進めたいのですが、どのように説明するのがよいでしょうか?」
「担当者までは提案できていますが、決裁者に会えていません。次の進め方について相談したいです」
という形です。
相談内容が具体的であれば、上司もアドバイスしやすくなります。
反対に、
「どうしたらいいですか?」
だけでは、最初から案件の状況を確認しなければなりません。
私は相談する時、
「自分はこうしようと思っていますが、どう思いますか?」
まで考えてから話すようにしています。
自分なりの考えを持ったうえで相談すると、上司からのアドバイスも理解しやすくなります。
私なら案件報告をこの順番で話す
案件報告が苦手な場合は、次の順番を使ってみてください。
① 現在地
② 金額
③ 判断時期
④ 受注までの課題
⑤ 次回アクション
⑥ 相談したいこと
例えば、
「A社について報告します。
現在100万円の提案で社内稟議中です。
来週金曜日に結論が出る予定です。
担当者は前向きですが、競合1社と比較されています。
明日、担当者へ競合との比較ポイントを確認し、必要であれば追加資料を提出します。
競合との価格差があるため、提案の見せ方について後ほど相談させてください」
という形です。
長く話さなくても、案件の状況がかなり分かります。
営業会議の前に確認したいこと
会議が始まってからCRMや商談メモを見て、
「えーっと……」
と状況を思い出すのではなく、事前に担当案件を確認しておきます。
最低限、
- 現在の商談段階
- 提案金額
- 受注予定時期
- 決裁者
- 競合
- 懸念点
- 前回アクションの結果
- 次回アクション
を確認します。
特に、
前回の営業会議で決めたことがどうなったか
は重要です。
前回、
「決裁者を確認する」
と決めたのであれば、
「確認できました」
「まだ確認できていません」
のどちらなのかを報告します。
営業会議を単発の報告で終わらせず、
前回→今回→次回
とつなげていきます。
「特に進捗がありません」は報告になる?
営業では、お客様から返信がなく、案件が動かないこともあります。
そんな時、
「特に進捗ありません」
で終わらせたくなることがあります。
しかし、
進捗がないこと自体も一つの情報です。
例えば、
「先週見積書を提出しましたが、まだ返信がありません。明日一度電話し、判断時期を確認します」
と報告できます。
重要なのは、
進捗がないことではなく、進捗がない状態をどうするのか
です。
案件が止まっているなら、
待つ。
連絡する。
優先順位を下げる。
一旦保留にする。
何らかの判断が必要になります。
売上予測と案件報告は分けて考える
営業会議では、
「今月いくら売れそうか」
という売上予測と、
「各案件がどうなっているか」
という案件報告が一緒になることがあります。
もちろん関連していますが、少し役割が違います。
売上予測は、
「今月どこまで数字が見えているか」
を見るもの。
案件報告は、
「その数字を作る案件が今どこにあり、次にどう動くか」
を見るものです。
例えば、
「今月500万円見込みです」
だけでは、その500万円が本当に受注できそうなのか分かりません。
逆に案件を細かく説明しても、全体として目標に届くのか分からなければ営業管理は難しくなります。
数字と案件の両方を見る。
この2つをセットで考えることが大切です。
私が案件報告で大切だと思うこと
営業を始めた頃の私は、上司への案件報告を、
「自分がちゃんと仕事をしていることを説明する時間」
のように考えていた部分がありました。
そのため、
「これだけ電話しました」
「お客様とこんな話をしました」
と、自分がやったことを細かく説明していました。
しかし管理職も経験して感じたのは、知りたいのはそこだけではないということです。
今どうなっているのか。
何が問題なのか。
次に何をするのか。
ここが分かれば、一緒に考えることができます。
案件報告は評価されるためだけの時間ではありません。
自分一人では気づけなかったリスクを見つけたり、経験のある人からアドバイスをもらったりする時間でもあります。
だからこそ、
「報告する」だけではなく、「案件を前に進める」ために営業会議を使う。
私はこの考え方が大切だと思っています。
まとめ
営業会議で案件報告をする時は、次の5つを意識してみてください。
- 最初に結論を伝える
- 事実と自分の予想を分ける
- 受注までの課題を伝える
- 次回アクションを明確にする
- 上司に相談したいことを整理する
案件報告は長ければ良いわけではありません。
大切なのは、
「現在地・課題・次の行動」が分かること。
次の営業会議では、
「この案件は今どこにいて、次に何をするのか?」
この2つを最初に整理してから報告してみてください。
会議での伝え方だけでなく、自分自身の案件整理にも役立つと思います。

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