はじめに
営業をしていると、異動や退職、担当変更などで、お客様を別の営業担当へ引き継ぐことがあります。
反対に、先輩や同僚からお客様を引き継ぐこともあります。
営業を始めた頃の私は、
「会社名や契約内容を伝えておけば大丈夫だろう」
と考えていました。
しかし、営業を10年以上経験して感じるのは、営業の引き継ぎで本当に重要なのは、契約内容だけではないということです。
例えば、
「このお客様は電話よりメールの方が連絡しやすい」
「毎年この時期に次年度の予算を検討する」
といった情報は、契約書だけでは分かりません。
今回は、営業の担当変更で意識したい5つのポイントをご紹介します。
① 契約内容だけでなく「経緯」を伝える
まず引き継ぎたいのは、現在の契約内容です。
例えば、
- 契約している商品・サービス
- 契約金額
- 契約期間
- 更新時期
- 担当部署
- 過去の提案内容
などです。
しかし、それだけでは十分ではありません。
私が特に重要だと思うのが、
「なぜ現在の契約になったのか」
という経緯です。
例えば、
「もともと〇〇という課題があり、この商品を提案した」
「価格よりサポート体制を評価していただいた」
という背景まで分かれば、新しい担当者もお客様を理解しやすくなります。
② お客様との約束を整理する
担当変更で特に避けたいのが、
「前の担当者には伝えたのですが……」
と言われることです。
そのため、引き継ぎ前には、
- 回答待ちの質問
- 提出予定の資料
- 見積もり
- 次回の連絡日
- 今後検討する予定の提案
などを確認します。
特に口頭で約束していることは、社内システムなどに残っていない場合があります。
メールや自分のメモも見直し、未対応のものがないか確認しておきましょう。
③ 数字だけでは分からない情報を伝える
営業には、データとして残しにくい情報があります。
例えば、
「電話よりメールを好まれる」
「資料は事前に送った方が話しやすい」
「担当者だけでなく部長も意思決定に関わる」
といった情報です。
もちろん、個人的な噂や必要のない情報を残すべきではありません。
あくまで、今後お客様と適切に仕事をするために必要な情報を整理します。
新しい担当者がゼロから関係を作り直さなくてもよい状態にしておくことが理想です。
④ できれば一緒に挨拶する
可能であれば、前任者と後任者が一緒にお客様へ挨拶します。
例えば、
「今後は〇〇が担当させていただきます。本日はご紹介も兼ねて一緒に伺いました」
という形です。
メール一本だけで、
「担当が変わります」
と伝えるより、お客様も安心しやすくなります。
その場で、
「現在〇〇についてご相談いただいています」
「次回は〇〇をご提案する予定です」
と確認すれば、お客様を含めた3者で認識を合わせることもできます。
対面が難しければ、オンラインで短時間の挨拶を設定する方法もあります。
⑤ 後任者は「また最初から全部聞く」を避ける
お客様を引き継いだ側にも注意したいことがあります。
それが、
前任者から聞けば分かることを、お客様にもう一度すべて聞かないこと
です。
例えば、
「現在何を契約されていますか?」
「これまでどんな提案を受けましたか?」
と最初から確認すると、
「社内で引き継ぎされていないのかな」
と思われるかもしれません。
まず社内資料や前任者から情報を確認します。
そのうえで、
「前任の〇〇から、現在△△をご利用いただいていると引き継いでおります。その後、何か状況に変化はございますか?」
と聞きます。
知っていることを示したうえで、変化を確認する。
これだけでも印象は大きく変わります。
引き継ぎ時に最低限まとめたい項目
私は、次のような項目を整理しておくことをおすすめします。
- 会社名・担当者
- 契約内容・金額
- 契約期間・更新時期
- 契約までの経緯
- 現在抱えている課題
- 過去に提案した内容
- 進行中の案件
- 約束していること
- 次回の連絡予定
- 営業上知っておくべき事項
特に重要なのは、最後の3つです。
過去の情報だけではなく、**「今どこまで進んでいて、次に何をするのか」**まで残しておきます。
後任として最初に挨拶する時の例
お客様を引き継いだ場合、私は最初から商品を提案するより、まず関係を引き継ぐことを優先します。
例えば、
「このたび〇〇から担当を引き継ぐことになりました山田です。これまでのご契約内容や〇〇についてご相談いただいていることは引き継いでおります。今後私からサポートさせていただきますので、よろしくお願いいたします。」
と伝えます。
その後、
「現在の状況について、前回から何か変わったことはございますか?」
と確認します。
これなら、前任者から情報を引き継いでいることを示しながら、最新の状況も確認できます。
私が営業の引き継ぎで大切だと思うこと
担当変更は、営業側にとっては社内事情かもしれません。
しかし、お客様からすると、
「これまで築いてきた関係が変わる」
という出来事です。
だからこそ、
お客様にできるだけ負担をかけずに担当を変えること
が重要だと思っています。
前任者は、次の担当者が困らない状態にする。
後任者は、前任者が築いた関係を尊重する。
そして、お客様には同じ説明を何度もさせない。
この3つを意識するだけでも、営業の引き継ぎはかなりスムーズになります。
まとめ
営業の引き継ぎでは、次の5つを意識してみてください。
- 契約内容だけでなく経緯まで伝える
- お客様との約束を整理する
- 数字だけでは分からない情報も残す
- できれば前任者と後任者で挨拶する
- 後任者は同じことを最初から聞かない
良い引き継ぎとは、情報を渡すだけではありません。
お客様との関係まで、できるだけ途切れさせずに引き継ぐこと。
担当者が変わっても、
「きちんと引き継いでもらえている」
とお客様に感じていただける状態をつくることが、営業として大切だと思います。

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